社会福祉法人 聖風会

社会福祉法人 聖風会

クローバースマイル

2021.12.13

グローバル職員と共に聖風会も組織として成長していく~台東 前島雅紀~

現場で直接、育成に関わる職員の想いとは

法人としてグローバル採用を積極的に進めていますが、現場で直接、関わる育成担当者はどのような想いを持ちながら指導を行っているのでしょうか。現在まで7ヵ国のグローバル職員を受け入れ、現場で育成に携わった台東部門の前島職員に話を聴きました。

WEBメディアでは広報誌「クローバースマイル」11号に掲載した記事のノーカット版となります。

手探りではじめた人材育成

受け入れがはじまった当初は、グローバル職員専用の人材育成を進めていくマニュアルもなく、グローバル職員のほとんどの方は、働きながら日本語力を磨くという段階なので、やはりコミュニケーションの取り方は試行錯誤の連続でした。
日本人の職員でも同じですが、その人自身の性格や気質などを知ることは育成の重要なポイントです。グローバル職員の場合は更にその職員のお国柄、文化、歴史などを育成する側が理解することも大切になってきます。例えば東南アジアのある国では「男性は女性に教えない」などの風習があるようです。だからと言って「日本では…」「聖風会では…」とただ形だけを教えるだけではなく、その職員一人ひとりが理解できるように伝え方を工夫しました。

「介護」のイメージを具体的に伝える

また、現場で働く職員の基本的な業務は介護ですが、グローバル職員のほとんどは「介護の概念」がない国から来ています。そのため、介護のイメージをつくる必要があるので、業務の目的や段取りと共に概念を理解してもらうことも丁寧に行いました。そこでは法人理念の「最高に価値あるものをすべての人に」が重要な土台となりました。「ない」ものを「つくる」わけですから、多くの悩みやつまずきもありましたが、そのプロセス通して「わかりやすく伝える力」が鍛えられ、私自身も大きく成長できたと感じます。

ご利用者との関係性は?

近年、看護、介護の分野で外国人の方が働くようになり、ご利用者や患者の方たちの抵抗感についてメディアでも取り上げられています。施設内でも「ご利用者が構えるんじゃないか」「少し不安が…」などの話も出ていました。しかし、実際にグローバル職員が現場に出て業務でご利用者に関わると全然そんなことはなく、杞憂でした。構えていたこちらが「あれっ?」ってくらい、オープンな気持ちで受け入れていただいて、私たちの心配は1日、2日で消えました。

グローバル職員に対するリスペクト

私も以前、北欧のスウェーデンに2週間ほどに視察に行った際に外国人という立場で介護の現場に入らせていただきました。その際、言葉がほとんど通じない、コミュニケーションがご利用者とも、同じチームを組む職員とも円滑に取れないという体験しました。これは自分が体験してみて初めて分かることの方が多く、精神的に本当に難しい状況になるのだと実感しました。
だから私は日本、そして聖風会で働くグローバル職員に対して、心からのリスペクトを持っています。国籍は違ったとしても、同じ介護業界で働く仲間として、「介護のプロフェッショナル」を目指す同志として、共に成長ができればと考えています。

未来を見据えて「まずはやってみる」ことから

今後はグローバル職員がご利用者の介護計画を作れるようにサポートしていきたいと考えています。もちろん現在、担当している業務からハードルは更に上がるので、法人として、施設としても「どのように育成していくのか」という具体的な議論を詰めていく必要があります。ただそれは聖風会が掲げている「世界基準をつくる 介護から“KAIGO”へ」を本当の意味で実現するためにクリアしたい課題だと個人的には思っています。
それから現在はコロナ禍で開催ができていませんが、以前行った聖風会のグローバル職員を集めた研修会を開催したいです。その際は、介護業務についてを我々が伝え、グローバル職員が、母国の料理(例えば、生春巻きなど)を教えるという企画を行いました。この「教えるし、教えられる」という学びの相互関係は多文化・共生社会の基本だと感じています。

また、グローバル職員も確実に増えてきているので、日本人の私たちだけでフォローするだけではなく先輩グローバル職員を「トレーナー」として新人グローバル職員をサポートしてもらう仕組みも必要だと感じています。
これからも多くの課題は出てくるとは思いますが、目の前の関わりが「世界の高齢者福祉の問題を解決するための一歩」となっていると信じて、自分の役割を果たしたいと思います。

クローバースマイル一覧へ
ページトップ