2022.06.13
2022年3月に発刊した「クローバースマイル vol.12」の中で、「聖風会REPORT 2022―未来にかける―」と題しまして、2020年から2021年の聖風会の重点的な取り組みを中長期計画(以下、「VISION」)の3本柱に沿って振り返り、そして2022年からの聖風会について考えるという記事を掲載しました。
聖風会には『社会福祉法人聖風会中長期計画』を遂行していくために5つのプロジェクトが動いています。その内のひとつとして業務軽減のためのICT等の活用を促進することを目的とした「ICT・IoTプロジェクト」があります。
今回はその「ICT・IoTプロジェクト」について、広報誌の記事からさらに内容を膨らませてお伝えしていきたいと思います。
聖風会では、ICT・IoTの導入を近年積極的に行ってきました。蓄積した介護記録の情報を活用し、客観的事実に基づいた根拠や情報をご利用者に提供するという「科学的介護」の必要性が言われ始めたことを受け、コロナ禍の中プロジェクトが立ち上がり、一気に導入を進めてきました。2020年度はインカム導入、2021年度は法人サーバーの移行、ウェブ会議ツール導入、そして、花畑あすか苑ではご利用者の体動、睡眠状態のデータを測るマットレス(眠りスキャン)の試験導入を行いました。
荒川と町屋の在宅ケアの事業ではオンラインツールを使用したリモートレクリエーションを実施しています。レクリエーションのインストラクターと事業所をオンラインツールで繋ぎ、簡単な運動やクイズなどを行っています。ご利用者の方は皆スクリーンにくぎづけです。またご利用者とご家族の面会もオンラインツールを使ってできるようになり、長時間両者をつないでお話いただけるようになりました。今後は複数の事業所をつない
で実施拡大をしていきます。
聖風会では、設備の運営管理の専門部署として法人本部に”管理課”を置いています。管理課を置くことによって、設備の点検整備・修理などはもちろんのこと、導入までの環境整備を迅速に行ってきました。今回コロナ禍でICT・IoTの導入を進められたのもプロジェクトと管理課の連携があってのことでした。今後も連携を取りながら、2022年度以降はご利用者の記録の電子化を早急に進めていきたいと考えています。
これまで聖風会では、中長期計画にも「将来の福祉を担う人材へのアプローチ」とあるように、積極的に実習生を受け入れ、親切丁寧な指導を心がけてきました。しかし、2020年2月頃から、これまで通りの実習プログラムを組むことが難しくなり、実習をお断りした時期がありました。その時期は、聖風会以外の法人も実習生をお断りしている施設が多く養成校も困り果てていました。一方施設では、通信設備が整ったため、ご家族とオンライン面会が
できるようになっていました。実習も同じ方法で出来るのではないかと考え、オンライン実習を提案し、養成校と方法を模索してきました。
そこで聖風会では、オンライン実習についてのアンケートを作成し、養成校に回答をお願いしました。結果、学校よりご要望を頂き、実習ができなかった1年生を対象に、動画を取り入れながら特養の説明を行いました。環境が整う学生には、パソコンを通してご利用者とコミュニケーションをとり、食事介助の声掛けをしてもらうなど介助
に触れる実習を行いました。コロナ禍以前のプログラムに近い内容で、研修や会議にも参加してもらいました。
読売理工医療福祉専門学校 介護福祉学科ブログ 「オンライン介護過程」
2021年度も緊急事態宣言下と厳しい状況は続きましたが、実習を中止した2年生に向けて、5日間のオンライン授業を行いました。また、実習生の中には、海外から参加した学生もいました。その学生からは、「日本の先進的な介護を今回のオンライン実習で学んだので、世界で活躍する人材になれるように自分の力を捧げたい」と力強い感想をいただきました。現在もコロナ禍ではありますが工夫をしながら現場実習を受け入れ始めている事業所もあります。
2021年度は2施設での受け入れでしたが、「学びたい」という学生の思いに教育機関として応えられるように、将来を担う人材の「学びを止めない」ために事業所と法人本部が連携し、法人全体で実習生を受け入れられるようにしたいと考えています。