社会福祉法人 聖風会

社会福祉法人 聖風会

クローバースマイル

2024.02.05

聖風会 ロードショー 第9幕 -東 理江 編-

映画よりもドラマティックな出来事が起こるから「人生は面白い」

聖風会で働く職員は現在930名。その職員一人ひとりに、福祉の仕事に関わった“きっかけ”や仕事を続けている“想い”があります。

どのようにして福祉の仕事を志し、聖風会への入職を決意したか。またどのような職業人生(道、ロード)を歩んできたかを、その時々に触れてきた、音楽、本、映画、心に残っている言葉と共に紹介するシリーズ連載「聖風会 ロードショー」をスタートさせます。

今回は「ゆうあいの郷 扇」の東 理江施設長です。第9幕(全3回)は、聖風会で施設長になってからと、今後の目標についてお話を伺いました。

父からの叱咤激励で施設長になる覚悟を決める

実は、施設長にとお声をかけていただいたときは、あまり自信がありませんでした。
普段から仕事の相談をよくしている父に不安な思いをこぼすと、「何を甘えたことを言っているんだ! 慣れた環境で、建物も、職員も、何もかも準備してもらってのことだろう? 会社から声をかけてもらったのなら、感謝して精いっぱいがんばりなさい」と言われました。

その通りだと思いました。厳しい言葉ではありましたが、おかげさまで、「お声がけいただいたからには精いっぱい頑張ろう」と前向きになれました。

実は子どものころは、父に何かを相談するような関係にはありませんでした。仕事一筋の父はどちらかというと無口で、少し距離を感じていました。父は熱があろうと何しようと、仕事を休むのはもちろん、夜以外で寝ている姿も見たことがないという人でした。
そんな父の偉大さを大人になったからこそ気付くことができ、いつしか仕事の相談をするようになりました。今ではお互いよく喋るようになり、距離が近くなったと感じています。
ここまでやってこられたのは、父の支えも大きいです。

30周年の節目で気持ちも新たに

個人としての今後の目標は、福祉教育を通じて子どもたちに貢献することです。
昨今、SNSの闇バイトで若者が高齢者を狙った強盗殺人に荷担するという事件が話題になりました。同じことを繰り返さないためにも、小学校から高校までで福祉教育に力を注ぎ、命の大切さや思いやり、高齢者を敬う気持ちを育んでいく必要があるのではと感じています。

具体的には、学校へ足を運び、高齢者福祉に関する授業を行うなどで力になれればと思っています。福祉教育を通じて、子どもたちと地域の未来をより良くしていきたいです。

施設長としての今後の目標は、「ゆうあいの郷 扇」が30周年の節目ということで、気持ちも新たに次の二つに今まで以上に注力していきたいと考えています。
一つ目は、「地域の方との信頼関係を強める」こと。
二つ目は、「職員同士のチームワークをより強化し、この施設でずっと働きたいと思ってもらえる環境を整える」ことです。

まだまだ、学ぶべきことは多いですが、せっかく携われた福祉の仕事で施設長になれたのですから、利用者のため、職員のため、地域のために、これからも精一杯頑張りたいです。

最近の印象深い映画:『ファーザー』

最近、おすすめされて観た映画『ファーザー』が印象深かったです。認知症で記憶が薄れ始めている父親と娘の話で、自分と高齢の父との関係性から、きっと作品の中の言葉などがささるのではないかと、おすすめされました。

父親目線で現実と幻想の境界が曖昧になっていく、認知症患者のリアルを描いた作品で、とても衝撃的な内容でした。



頭で分かっていても、心無い言葉で傷つき、心が折れそうになってしまう娘の気持ちは、その状況に立たされた人でないと分からないかも知れません。そして記憶が錯綜し混乱が続く父が言います。
「すべての葉を失っていくようだ」と。
長い年月をかけて築き上げてきた人生という大樹。その葉が散っていく様は、どれだけの不安や悲しみで押しつぶされそうになったことでしょう。そして最後に子どものように泣きながらこう言います。「ママを呼んで、迎えにきて。」
自分達が大切に育ててもらったように、その葉が最後まで自信に満ち溢れた瑞々しい若葉であるように、娘として、福祉従事者として、人としての「思いやり」の心を持って、ラストステージでの関わりや学びを大切にしていきたいと思います。

クローバースマイル一覧へ
ページトップ