2024.03.25
聖風会で働く職員は現在930名。その職員一人ひとりに、福祉の仕事に関わった“きっかけ”や仕事を続けている“想い”があります。
どのようにして福祉の仕事を志し、聖風会への入職を決意したか。またどのような職業人生（道、ロード）を歩んできたかを、その時々に触れてきた、音楽、本、映画、心に残っている言葉と共に紹介するシリーズ連載「聖風会 ロードショー」をスタートさせます。
今回は「ゆうあいの郷 六月」の髙橋貴枝施設長です。第8幕（全3回）は、聖風会に入職してからのお話を伺いました。
聖風会との出会いは大学の求人案内でした。大学で聖風会の「足立新生苑」の求人案内を見て、自転車で通える距離というのもあり興味を持ちました。すぐに連絡をし、見学のお願いをすると、当時の副施設長が対応してくださいました。
見学をお伺いすると、思った以上に大きな施設で驚きました。正面玄関から入るとすぐ養護老人ホームの棟があり、そこからさらに奥に向かって、渡り廊下でつながる特別養護老人ホームの棟がいくつも建っていました。
また、当時最新の入浴設備や床暖房などもご紹介いただきました。「寝たまま入れるお風呂で、都内でも導入しているところは珍しいよ」「ちょっとスリッパ脱いでごらん。ここ床暖房だから」などと丁寧に説明してくださり、一つひとつが新鮮でした。
当時の理事長からもお話を伺う機会をいただき「ここで働きたい！」と思い入職を決めます。
入職後、女性主任の指導のもと、仕事をいちから学んでいきます。当時は、とにかく主任についていくのに精いっぱいで、悩んでいる暇もないほどでした。
主任は“ご利用者ファースト”を何よりも大事にされている方で、求められる仕事のレベルもとても高いものでした。手を抜いているつもりはなくても、未熟ゆえに至らない点があったり、もたもたしていたりすると、厳しく指導されました。
仕事以外ではとても優しい方ではありましたが、やはり当時は怖かったですね。
まだまだ若かったですから、怒られることを理不尽に思うこともありました。言い訳や反論をすることはありませんでしたが、他の先輩から「顔に出ているよ」と言われたこともしばしば。怒られたことに納得がいかず、不機嫌なのを隠せなかったのでしょうね。
ただ、仕事でイヤなことがあっても長く引きずることはありませんでした。自転車通勤だったので、家につくまでの20～25分ほど自転車をこいで体を動かしている間に切り替えていました。
改めて振り返ると、主任にはお世話になりっぱなしだったと気付かされます。
叱るにしても、自分では自覚のない至らない点を指摘してくれているということですので、すごくありがたいことだと今ならわかります。
また、自分が何か失敗しても主任が厳しく注意してくれるので、利用者からの非難や不満にはつながらないというのもあったのではないでしょうか。ある意味では、厳しくすることでかばってももらっていました。
主任と仕事をしていて、特に印象に残っているのが防災訓練です。
入職1ヶ月後ぐらいに防災訓練を予定していたのですが、「新人さんは見ていてください」と言われました。
そして当日、主任は本当に火事が起こったのかと思うような勢いで職員へ指示を出し、利用者への注意喚起と避難誘導を行うので驚きました。消火栓の接続時には「接続よし！」と気合の入った指さし呼称をし、素早く消火器を持って火災現場に駆けつけます。
他の職員も主任に続き、同じく迫力の火災訓練が展開されました。圧倒されるばかりで、自分も「数年後にはこれをやるのか」と衝撃を受けたのを覚えています。
とにかく、主任はどんなことにも常に真剣でした。訓練にも、行事にも、目の前の利用者に対しても。その姿勢を心から尊敬していました。
入職してすぐに東京ディズニーランドがオープンしました。たまたま、オープン前優待チケットをもらい、訪れたのをきっかけに、独身時代は一人でちょくちょく行っていました。
アトラクションが好きというよりは、ディズニーランドのアメリカンな雰囲気が好きでした。父の影響で、アメリカのデキシーランドジャズやマーチングバンドをよく聞いていたからだと思います。パレードやパフォーマンスなどで、生バンドの演奏を聞けるのが楽しかったですね。
ちなみに、ディズニーランドに行くと必ず犬の置物を買っていました。陶器製の小さいもので、ディズニーランドに行かなくなった今も大事に飾っています。
犬好きというわけではありませんが、ディズニーに出てくる犬はどれも愛嬌があって可愛いです。
