社会福祉法人 聖風会

社会福祉法人 聖風会

クローバースマイル

2025.09.29

アクティブ福祉 in 聖風会2024 ⑤【千住部門】

ADL維持等加算への挑戦と職員の気づき~利用者の想いに寄り添う支援~

前回に引続き、各部門の広報委員よる『発表内容解説編』をお送りします。
それでは、発表 No.5 千住部門です。

どうぞご覧ください!!

アクティブ福祉in聖風会2024 審査結果はこちら👈

プレゼンテーションはこちら👇

1.始めたきっかけ、課題意識

これまでの介護報酬はサービスの内容に対する評価が多く、サービスの結果を評価する仕組みがほとんどありませんでした。

2018(平成30)年の介護報酬改定時に新設されたADL維持等加算は、「自立支援・重度化防止の観点から、一定期間内に当該事業所を利用した方のうち、ADLの維持又は、改善の度合いが一定の水準を超えた場合に評価する。」という結果に対する加算になりますが、自立支援、重度化防止は、介護に携わる私たちにとって永遠の課題であり、特に高齢化が加速する現代においても、解決すべき社会問題であるといえます。

千住桜花苑では、ADL維持等加算の目的が自立支援の実践に繋がるのではないかと考え、時代のニーズに応えるべく加算算定の挑戦に至り、ADL維持等加算の算定を始めるにあたって『やっているか・やっていない』か、ではなく「できるか・できないか」に着目しました。

2.実際にどんなことを行ったか

実際に、ADLの維持・向上につながったケースをお伝えします。

【ご利用者の状況】
腰椎圧迫骨折後デイサービスの利用を開始。骨折をした後ということもあり、立ち上がり時や立位時に後方へのふらつきがある状態。

【ご利用者の気持ち】
自分のことは自分でやりたいという想いがある方。

【利用開始当時の桜花苑の対応方法】
フロア内はシルバーカー(歩行補助車)を使用し、常に職員が腰に手を添え、後ろから支えて歩行。
転んでしまったらまた怪我をしてしまう考えが優先して、リスクを考え安全第一を優先した支援になっていた。

【対応の改善】
アウトカム評価のバーセルインデックス(※1)を活用して、ご利用者のADLを数値化し、日々の関わりの中からその方がどこまでできるのかを職員全員で情報共有しながら状態を把握していました。また、作業療法士から「本人の思いに寄り添い、できることを奪わないためにも介助方法の見直しが必要なのではないか?」と提案があり、ケアの方法を変更。ケアの方法を変更することにより様々な気づきを生み、ご利用者本人ができることに寄り添うという、現在の千住桜花苑の利用者支援の柱を生み出すことに繋がりました。

(※1)バーセルインデックス
要介護者や病気を抱える方の食事や歩行などの身体機能やADL(日常生活動作)を評価する際に用いられる検査方法。

3.結果

ご利用開始から数ヶ月が経過した頃には、寄り添った支援の結果、以前より歩行状態も改善傾向になっただけでなく「自分でできた!」というご利用者の自信にもなり、さらなるADLの向上に繋がりました。そして、職員はご利用者ができる能力があるのに過剰な支援をやってしまい、できなくしてしまっていることがあるという気づきがありました。

このように日々、ケアの方法を考えながら算定を続けてきた結果、加算の収入も当初に対し、2023(令和5)年度では約21倍に増え、施設収入にもよい結果をもたらすことになりました。ADLが維持、向上していないと算定できないという難しい算定要件のなか、現在も算定を続けられています。

4.発表者感想

聖風会の理念として掲げる「相手の笑顔自分の笑顔、その人がその人らしく生きること」が、今回の挑戦で実践できたのではないかと思っています。これからも「想いに寄り添う支援」を大切にし、これまで培ってきた伝統ある援助技術も後進に伝承していきます。

5.広報員一言

ご利用者の今感じる想いやできることに寄り添う支援を行うことでその人らしさが発揮され、笑顔にも繋がることを学びました。高齢化が加速する中で、自立支援は大切であると感じました。

クローバースマイル一覧へ
ページトップ