社会福祉法人 聖風会

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クローバースマイル

2022.01.17

【生活サービス委員会】今を大切にできるケアを目指す ~花畑あすか苑~

向かい合う「今の利用者」の気づきから、 近い未来の新しいケアへ

聖風会「CREDO」の「3つの約束」のひとつである「私たちはご利用者の人権を最大限に尊重します」を果たすために、「特養」の中で「その人がその人らしく生きること」とは?最期まで住み慣れたホームで暮らしたい」というご利用者の想いに応える為に、私たちは聖風会理念を体現する「サービス」のカタチを追求しています。

私たち生活サービス委員会は聖風会の各特養の課長職(生活相談員)で組織された本体の委員会、そして、介護職の代表者で組織された「介護委員会」、看護職の職の代表者で組織された「看護委員会」、併設のショートステイの生活相談員で組織された「ショートステイ委員会」で構成されています。

今回は連載の第2弾として、排せつケアを通じた、利用者のQOL向上や自立支援の実現を目指し、加算算定に取り組んでいる花畑あすか苑の事例をユニ・チャーム メンリッケ㈱様が発行されている「リーエンダ with TENA(2021年9月発行)」に掲載された記事からの抜粋して、ご紹介いたします。

排せつケアは長期的なアプローチが重要

花畑あすか苑でも2016年のオープン当初から個別排せつケアを実施していますが、18年介護報酬改定で新設された「排せつ支援加算」の算定は見送りました。排せつケアというのは、長期間のアプローチの中で少しずつ変化していくもの。日々かかわるケアであり、6カ月以内という短期間で結果が出るケアではないと考えていました。

そして今回の21年介護報酬改定で、同加算の算定期間が撤廃されたことから「現場職員の取り組みが継続的に加算評価していただける」と考え、4月から「排せつ支援加算(Ⅰ)」の算定を始めました。花畑あすか苑の平均要介護度は4.4と高いため、排せつの自立実現などアウトカム評価が求められる「同加算(Ⅱ)」「同加算(Ⅲ)」ではなく、当面はLIFEへのデータ提出などの体制要件に関する「同加算(Ⅰ)」を算定することとしました。
 今後の取り組みの進展や必要に応じてケアの見直しをすることにより、加算額の高いアウトカム評価についても算定を目指していくことが可能と考えています。(施設長 雨宮恵子)

「その方にとって」 何が一番かを考える

尊厳を守る排せつケア

 日本の介護現場では、交換頻度を多くして清潔な状態を保つ排せつケアの考え方が根強いと思われます。しかし、できる限りおむつの交換回数を減らし、陰部をさらす時間を少しでも短くするなど、その方の羞恥心や自尊心を守り、尊厳を守るケアを実施する必要性も広がりつつあると考えます。頻回なおむつ交換は、利用者の生活の時間を奪ってしまいます。
「その方にとって」を考え、いかに生活の時間を確保し、職員にも、やりがいをもってケアにあたって頂けるように取り組んでいます。寝たきりや認知症で意思疎通が困難な方でも、表情や動きから快適なケアかどうかを読み取ることができます。
 こうしたケアの成果は、高齢者施設の入居者に多い尿路感染症の状況にも現れていて、花畑あすか苑では入居者が腎盂腎炎により入院するケースは1件もありません。また、尿路感染も初期の段階で早期発見・対応することで、住み慣れた施設での快適な生活の継続を実現しています。(生活サービス課介護係 主任 野口文子)

加算の算定は現場の取り組みの評価をカタチに

「LIFE」による「排せつケア」評価に期待

 21年介護報酬改定で、排せつ支援加算の算定には新たに「LIFEへのデータ提出」を求められるようになりました。データ提出後には、厚生労働省から「事業者」「入居者」に関するフィードバック(評価・改善提案)が定期的に実施されることになります。
 介護現場では、入居者がどのように快適に過ごせるか、改善できるかを懸命に考え取り組んでいます。フィードバックは、そういった現場の努力を国に評価してもらう意味もあり、外部からケアを評価してもらうチャンスと前向きに捉えています。

排せつ支援加算(Ⅰ)の算定を通じて、現場の取り組みを評価

 排せつ支援加算の算定開始は、算定期間の上限撤廃だけが理由ではなく、排せつ支援は利用者の全身状態を評価する必要があり、多職種の関わりが欠かせないケアです。現場職員は常によりよいケアを目指して取り組んでいます。排せつ支援加算を算定することは、現場の取り組みを施設としてもしっかりと評価しているとのメッセージでもあります。算定して得た介護報酬で職員の処遇のさらなる改善や、ずっと働きつづけたい職場の実現などに繋げていきたいと思います。人材の定着だけではなく、勤務時に心の余裕ができることでより良いケアにも繋がっていると感じます。(生活サービス課 課長 永田 剛)

心の豊かさを大事に良いケアへとつなげる

多職種で構成されいてる「ケア検討委員会」では各専門職種が意見しあうことでケアへの思いの共有や、新たな気づきの発見に繋がっています。各職種の専門的な意見を参考にしあうことで、ケアの技術向上を実現しています。一人ひとりに合わせた排せつケアを実現するためには、入口(食べる)から出口(排せつ)までを一貫してみることが重要。「食べる」では管理栄養士の他、摂食嚥下機能を評価する歯科医師や歯科衛生士、排せつでは姿勢保持などリハビリ専門職による関わりなど、看護・介護職も含む多職種連携が欠かせません。

21年度報酬改定では、褥瘡マネジメント加算や自立支援促進加算でも多職種の関わりが要件になるなど、多職種が連携して利用者の状態を見る体制が評価されています。各専門職がそれぞれの立場で『利用者にとって何が一番必要か』を考えて行動するように心がけています。自分と異なる意見を理解するためには、話し合いの機会をしっかり確保して交流することが非常に重要です。お互いの意見を取り入れることで、より良いケアに繋がる、コミュニケーションが何より大切です。

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