社会福祉法人 聖風会

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クローバースマイル

2022.12.12

聖風会 ロードショー 第5幕 -木村輝明 編-

映画よりもドラマティックな出来事が起こるから「人生は面白い」

聖風会で働く職員は現在930名(2022年7月現在)。その職員一人ひとりに、福祉の仕事に関わった“きっかけ”や仕事を続けている“想い”があります。

どのようにして福祉の仕事を志し、聖風会への入職を決意したか。またどのような職業人生(道、ロード)を歩んできたかを、その時々に触れてきた、音楽、本、映画、心に残っている言葉と共に紹介するシリーズ連載「聖風会 ロードショー」をスタートさせます。

今回は千住桜花苑の木村輝明施設長です。第5幕(全3回)は、仕事をする上で大切にしていることについてのお話です。

課長になって変化した意識

仕事をするうえで「ていねいな仕事」をするよう心掛けています。
最初からできていたわけではなく、意識するようになったのは課長になった頃からです。自分の身の振り方が職員に大きく影響する立場になり、より自分の仕事を顧みるように変わっていきました。
お年寄りの支援をていねいに行うことは言うまでもありませんが、介護以外の仕事も同じようにていねいに行うことを心掛けています。ていねいな言葉を使う、ていねいな字を書く、解りやすい言葉で伝える、解りやすい資料を添える、見やすくきれいな資料を作る、メールを送るだけではなく電話で伝えるなど、様々なていねいがあります。
仕事を受け取る相手の期待値を推測し、その期待値の一歩(半歩でも)上をイメージして仕事をしています。仕事を受け取る相手にとって気持ちが良く、心遣いが感じられる仕事が、ていねいな仕事ではないかと自分は解釈しています。
以前は早さを優先するような仕事の仕方でしたが、法人内外、縦横関係を問わず関わって頂いている方々のていねいな仕事、気持ちの良い仕事に触れる機会が増えるにつれ、自分も相手にとって気持ちの良い仕事をしようという想いになりました。

相手のことを考え、ていねいに行った仕事は必ず相手の心に届きます。

ていねいさを感じる仕事を受け取ることはとても気持ちの良いもので、相手への信用も自然と高くなり、また仕事をしたいなと思わせます。

相手のことをあまり考えていない、やっつけの仕事は必ず見抜かれます。

ていねいではないと感じる仕事を受け取った時は、残念ながら相手への信用も低くなり、次の仕事を控えてしまうことがあります。

伝えあうことのできる環境や関係性であれば、仕事のていねいさのフィードバックをうける機会があるかもしれませんが、なかなか多くはありません。ていねいさだけが必要なわけではありませんが、任される仕事が増えていかないと感じたときは、自分の仕事を振り返ってみる必要があるかもしれません。自分としてはていねいに行った仕事であっても、自分のスキルが低かったり、相手の期待値が上回っていたりすると心には届きません。そのためにも介護と同様に知識と技術を身に着け、磨いていかなければなりませんね。
「ていねいな仕事ですね」最高のほめ言葉ではないでしょうか。

苦境を乗り越えていく工夫

仕事をする上で、もう一つ大切にしているのが「自責」の考え方です。
30代前半くらいまでは、なんとなく小手先の感覚で仕事に取り組み、利用率(稼働率)が低下したり、離職者が増えたりしても、当事者意識が低く、いわゆる「他責」であったと思います。特養の責任者に就任してから、様々な課題に直面することで、自覚と覚悟が芽生えたように感じています。
日頃より心がけていることは、ありきたりではありますが「自責」の考え方です。何か困難なことや不都合なことがあると、どうしても何かのせいにしてしまいます(自己防衛的ですから自然ですかね)。つまり「他責」の考え方です。
「職員が育たないのは、職員に能力や、やる気がないからだ。」「職員の募集をかけても人が来ないのは、介護職の人気がないからだ。」「自分はこんなに頑張っているのに、なぜ皆わかってくれないだ。」よく口にしてしまう「他責」の言葉です。

また、「自分には能力がないから。」「自分はこの仕事に向いていないから。」
人や環境のせいにはしていませんが、架空のもう一人の自分をつくりあげ、そのもう一人の自分のせいにしてしまいます。言葉としては「自責」ですが、考え方が「他責」であり「自責的な他責」になります。
人や環境の変化を期待しても、なかなか変わらず、苦痛な状況が継続することになります。しかし、自分の物の見方や考え方は、自分の力で変えることができます(簡単ではありませんが)。
自分自身を否定するのではなく、今の自分のやり方や身の振り方を、どのように変えれば、状況が好転するかを考え、行動します。「自責的に考える」だけではなく「自責的に考えて行動変容をする」ということが大切ですね。自責的に自分を追い込むだけでは、心を壊してしまいますので、行動変容が必要です。

人や環境のせいにすると、どうにもならず、人はイライラします。自分のせいにすると、なぜだかそれほどイライラはしないはずです。行動変容するには、成功している年長者や同世代に相談し、謙虚に教えてもらいます。直面する課題はきっと多岐にわたりますので、多様な関係作りが大切になります。日常的には、様々な本を読んでおくと、いざ困難を解決しようとした時に不意に役に立つことが多くあります。職員にも日々そのことを伝えています。

ラグビーワールドカップで学んだリーダーとしての在り方

学生時代に取り組んだサッカーはもちろん、勝負事のスポーツ観戦はだいたい好きです。仕事への刺激になることも多いですね。
2019年日本で開催されたラグビーワールドカップでの日本代表の勇姿には特に勇気づけられました。前回大会である2015年のイングランドでのワールドカップでは、日本代表が優勝候補の南アフリカに接戦し、誰もが予想しなかった勝利を収めたのは皆さんも記憶に残っているのではないでしょうか。

その時の日本代表のヘッドコーチであるエディー・ジョーンズ氏の言葉です。
「リーダーは、自分の感情から離れ、その場を客観視しなければなりません。そのうえで、一種の演技として、顔色や声色、言葉などを使い、メッセージを発するべきだと思います。」
常に安定した感情で、場の雰囲気を読みながら、冷静に対応することを心がけています。


出典:エディー・ジョーンズ『ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング』(講談社、2016年)

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