2023.05.22
「聖風会サンクスレター」は、ご家族やご利用者さまからいただいたお手紙をご紹介するコーナーです。実際にお手紙を受け取った職員の方に、当時の印象的なエピソードと共にお手紙の内容を振り返ってもらいます。4回にわたり、花畑あすか苑の永田さんに届いた二通のお手紙についてご紹介をします。
第3回目の今回は、ご利用者Cさんのご家族からのお手紙のお話です。
二通目も花畑あすか苑をご利用くださったお父さまの娘さまからのお手紙です。こちらのご利用者・Cさんは、コロナ禍の2017年にご入居され、長い付き合いをさせていただきました。見取りの時期がコロナ禍ではあったのですが、ご家族やお知り合いとの面会はできるように施設全体で感染対策を万全に整えて対応させていただきました。
お手紙が届いたのは2022年の春。ご利用者の一周忌が終わってすぐにお母さま(ご利用者の妻)も亡くなられたというタイミングです。
ご利用者はとにかく頑固な方だったと記憶しています。当時、私を含めて現場の職員はとても対応が難しかったですし、お手紙をくださった娘さんも手を焼いていたように思います。
入居されてすぐのCさんはとてもお元気で、なんでも自分でやろうとチャレンジされていたのが印象に残っています。例えば、歩くのも一人でやろうとするのですが、体がついてこられずに転んでしまうことも多く、ヒヤッとする場面が多かったです。もちろん、周りの職員は止めるのですが、言うことを聞いてくれません。止めるほどに意地になって一人で歩こうとしますし、実際に歩いて見せた後に「ほら、できるじゃん」って怒られたことも何度もありました。
現場の職員に対しては、「ご利用者がわがままを言える施設ほど良い施設だから」という声かけをして励ましていました。
ただ、Cさんもずっと元気ではいられません。徐々に気力・体力が落ちて、体調も悪化していくと、怒ることも少なくなっていきました。
すると、昔気質で荒々しいのはCさんのほんの一面であって、基本は優しい方なのだなと気付くことができました。現場の職員が一生懸命なこともちゃんと分かっておられて、最後の方は「ありがとう」と言ってくださることも多かったです。
私自身もよく怒られたからこそ、最後の方にいただいた感謝の言葉は忘れられません。もちろん嬉しいのですが、一方では、もう怒る元気がないのかなと思うと切なかったですね。
人間は勝手なもので、少々元気すぎるご利用者であってもお別れが近づくのを感じると、やはり寂しい気持ちになります。
当たり前ですが、ご利用者とのお別れの時は必ず来ます。私たち職員にできることは、後悔のないよう、精一杯に毎日を務めさせていただくしかありません。こちらのご利用者とご家族からも、忘れられない大切な経験をさせていただきました。