2024.11.18
「聖風会サンクスレター」は、家族やご利用者からいただいたお手紙をご紹介するコーナーです。今回は、グリーンハイム荒川の伊勢課長にお聞きしたお話の第2回です。
今回は、上司から学んだ忘れられない教えをサンクスレターとして紹介します。
もう6年以上も前のことです。「ゆうあいの郷 扇」の現場職員だったのですが、相談業務も少しずつですが、始めました。ある日のこと、ご利用者の息子さんと電話でお話しをしていたのですが、突然、一方的に電話を切られてしまいました。
電話では「減免制度の切り替え時期なので、期間内に手続きを済ませてください」といった内容をお願いしていました。とても大事なことなので「必ずですよ」と、しっかりお伝えしていたと思います。
すると急に電話口の相手が変わり、「あなたたちの都合でしょ!」と怒鳴られたのです。ビックリして一瞬、何がおこったのかわかりませんでした。気づけば電話は切られていましたが、声からして隣で聞いていた奥様だったのだと思います。ご家族を怒らせてしまったと焦りましたが、どうしたらいいかわからずボー然としていました。
その後、出勤した施設長に相談をしました。事情を説明するなかで、電話のかけ直しは施設長からしていただけることに。
施設長からのかけ直しの電話は、近くで聞かせていただきました。やはり、奥様はかなり怒っていらっしゃる様子で、施設長に対しても怒りの言葉をおっしゃっておられました。そんな奥様に対して、施設長は常に冷静かつ丁寧な対応を続けます。奥様の話をさえぎらない、適切なタイミングで相槌を打ちながら話を聞きつづけていました。すると、あんなに怒っていた奥様が、みるみる落ち着いていきます。
気づけば、会話のペースは完全に施設長のものになっていました。減免制度の説明をしてもしっかりと耳をかたむけてくださり、最終的には、心から納得いただいたうえで電話を終えることができました。
別人のように変わる奥様の様子は、当時の私にはまるで魔法のようでしたね。
「奥様が怒ったのは、伊勢さんのせいではないよ」。
電話が終わると、施設長は励ましの言葉をかけてくださいました。そのうえで、「声のトーンを優しくし、話し方を少しゆっくりにすると良かったかもしれないね」とアドバイスをくれました。確かに、早く手続きをしてもらわなければと焦るあまり、一方的な話し方をしていたと反省しました。きっと奥様には、責め立てられているように聞こえてしまったのでしょう。
私たちは、さまざまな事情を抱えるご利用者、そのご家族に対応しなければなりません。相手や出来事に引っ張られることなく、どんなときも丁寧かつ冷静でいることが求められます。
施設長がまさに見本となり示してくれた対応とアドバイスの言葉は、今も心に深く刻まれています。課長として後輩にも、いただいたアドバイスの大切さをしっかり伝えていきたいです。
お正月の準備をする東施設長と伊勢課長