社会福祉法人 聖風会

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クローバースマイル

2023.04.03

聖風会 サンクスレター エピソード1:花畑あすか苑開設当初に出会ったご利用者、ご家族➀

令和5年度が始まりました。新年度の新企画第一弾です。2週続けて掲載いたします。

「聖風会サンクスレター」は、ご家族やご利用者さまからいただいたお手紙をご紹介するコーナーです。実際にお手紙を受け取った職員の方に、当時の印象的なエピソードと共にお手紙の内容を振り返ってもらいます。4回にわたり、花畑あすか苑の永田さんに届いた二通のお手紙についてご紹介をします。
第1回目の今回は、花畑あすか苑開設当初のご利用者Aさんご家族からのお手紙のお話です。

施設立ち上げ初めての経験

一通目のお手紙は2018年の春ごろに届きました。書いてくださったのは、花畑あすか苑をご利用くださったAさん(お父様)の娘さまです。お父さまが亡くなってから1年ほど経ったころにいただきました。
花畑あすか苑の立ち上げが2016年8月、異動と同時に初めて「生活相談員」を担当することになりました。Aさんが入居されたのも立ち上げとほぼ同時期だったのを覚えています。今考えると組織としても私個人としても、「私たちができること」を模索しながら、日々業務にあたっていた時期であったと思います。

また、Aさんは、入居当時から脳梗塞により言葉を満足に喋れず、会話による意思疎通が困難な状態でした。その後、入居してわずか半年、翌年の1月にお亡くなりになりました。

冗談には大笑い、励ましの言葉には涙

Aさんに関することで印象に残っているのは、やはりご家族と一緒の場面ですね。特にAさんの妻であるBさんがいらっしゃっている時は本当に楽しそうにしておられました。
日ごろから冗談が好きで、明るい方でした。ご家族の前ではより感情表現が豊かになり、見ている私たち職員も元気をもらいました。施設の立ち上げ当初で職員間にもまだ硬さが残る中、雰囲気を和らげるきっかけにもなっていました。

特に思い出に残っているのは、Bさんが来ている際に挨拶に行き、そのまま3人でお話をさせていただいた時のことです。もちろん、ご利用者の方は自由に喋れませんので、どうしても一方通行の会話は多くなります。それでも、私の言った冗談にはAさんも声を出して大笑いしてくれるので嬉しかったですね。
このように明るい性格のAさんではあったのですが、上手く喋れないことから「なんで分かってくれないんだ」と職員に対してイラ立ちを見せる場面も少なからずありました。意思疎通が困難なことによるAさんのもどかしい様子は見ていてとてもつらそうでした。現場の職員もどう対応していくか難しかったと思います。
そんな中、Bさんが本当に足しげく通ってAさんを励ましておられました。家族だからこそ「しっかりしなさいよ」など、厳しい言葉もありましたが、真摯に受け止めておられました。また、時にはBさんの言葉に嬉し涙を浮かべられることもありました。どんな言葉も奥さまの優しさからだということは十分に理解されていたのだと思います。

悔しい思いは次の仕事の支えに

正直、こちらのご利用者に対しては、できることを十分にやり切ったという思いはありません。もちろん、当時の自分にできることを精一杯やったのですが、施設としても相談員としても模索しているな時期でしたので、思い通りにならないこともたくさんありました。さらに半年という短い期間で逝去されてしまいましたので、悔しい思いがより強く残っています。
だからこそ、同じ思いをしないように頑張らなければと、毎日、気を引き締めて仕事を続けてきました。良いことばかりの思い出ではありませんが、今も支えになっている大切な経験です。

聖風会 サンクスレター エピソード2はこちら ▶▶▶

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