2024.07.15
『私たちは社会福祉法人聖風会の虐待防止に関する考え方を共有し、現場レベルで不適切な対応を指摘し、改善しあえる風土づくりに努めます。また、虐待を防止し、ご利用者の尊厳を保持することで、その人らしいイキイキとした生活へのサポートに努めます。』
私たち聖風会職員としての虐待防止における行動指針です。
「高齢者虐待は絶対に許さない」という法人スタンスのもと①虐待防止行動計画、マニュアル、虐待の芽チェックリストの作成と見直し②クレドカードの作成③虐待防止研修の企画、運営等を取組み課題とし、法人内のプロジェクトのひとつとして、「虐待防止プロジェクト」が立ち上げられました。
このシリーズ5回目となる今回は2週連続で、前回に続き、昨年度に開催した「指導職・管理職虐待防止研修」の内容についてです。聖風会の「高齢者虐待防止のための指針」では「『虐待の芽チェックリスト』の設問8 『不適切な状況があっても、見て見ぬふりをしていません。』及び設問17 『他の職員に仕事に関わる相談ができない等、職場でのコミュニケーションがとりにくくなっていません。』の結果を継続的に確認し職場環境の状態評価を行う」としています。
今回はその「虐待の芽チェックリスト」の分析結果について、ご紹介いたします。
聖風会では人事考課の時期に合わせ、年2回、「虐待の芽チェックリスト」を全職員対象に実施しています。「虐待防止担当者」である各施設長が集計して、「虐待防止プロジェクト」に提出し、それらを集約して分析、改善につなげるようにしています。下のグラフは法人全体の「入居型施設(特養など)」と「デイサービス」の職員に行った集計結果です。
私たちプロジェクトメンバーはこの三つの項目は連動していると考えており、一昨年度に行った分析として、以下の点をあげました。
(1)「職場でのコミュニケーションが取れていると他の職員が行っているケアに問題があると感じることが少ない」
職場内でのコミュニケーションが「良好」であると、他職員のサービス(ケア)に問題があると「感じることがない」職員が約7割と高い割合でした。職場内の良好なコミュニケーションはサービス(ケア)の質を担保していると分析できます。しかしながら、職場内でのコミュニケーションが良好という関係性から、他職員のサービス(ケア)の質の判断が甘くなる可能性にも留意が必要です。
(2)「職場でのコミュニケーションが取れていると、他の職員が行っているケアに問題があると感じた場合、見て見ぬをふりをせずに伝えることができる」
「職場でのコミュニケーション」が「良好」とした職員の内、「他の職員のケアに問題がある」と「感じることがある」とした職員の割合は3割弱、そして、それらの内、「不適切な状況に見て見ぬふりをしている」かどうかの項目で「していない」とした職員は約8割でした。仕事上の良好な関係性を構築し、「馴れ合う」ことなく、信頼関係の下、不適切な言動に対して指摘し合えているのではないか」と分析しました。
さて、今回の結果はどうだったでしょうか?
入居型施設についてはほぼ横ばいですが、「職場でのコミュニケーション」と「不適切な状況に見て見ぬふりをしている」の項目はわずかですが悪化しています。
デイサービスについては3つの項目すべてが減少しており、特に「職場でのコミュニケーション」と「不適切な状況に見て見ぬふりをしている」の項目は大幅減であり、数値上は改善していると言えます。
そして、今回私たちプロジェクトメンバーは以下の様に分析しました。
①「職場でのコミュニケーション」の数値が悪化している場合、その要因が特定の個、もしくは組織全体を表しているのかさらなる分析が必要。
②「不適切な状況に見て見ぬふりをしている」の項目の数値は限りなくゼロに抑える必要がある。ここ数回の結果は横ばいであり、「聖風会 行動目標」の「伝え愛」の風土が浸透していないと言える。
③「虐待の芽チェックリスト」に取り組む個々の姿勢、指導職側の活用の仕方に課題がある可能性。(「チェックリスト」の見直しの必要性)